漁夫の利って、ただラッキーなこと?由来の三者と例文の作り方、一石二鳥との違いまで、親子で「誰が得した?」をほどくことわざ入門の話

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「二人が言い合っていたら、別の人が得をした。それって漁夫の利?」
そんな文を作ろうとして、手が止まったとしたら。得をしたのは確か。でも、ただ運がよかっただけの場面にも使っていいのかな。

ここ、分けてみよう!
漁夫の利は、争っている二者のすきをついて、別の者が苦労せず利益を手にすること。読むのは「ぎょふのり」です。

つまり、誰かが得したことに加えて、その前に争いがある。その関係まで見えると、ぐっと使いやすくなります。

魚をたくさん捕った喜びのことかな、と文字から想像した人も、ここから一緒に追いかけてみて。由来には鳥と貝が出てきます。……鳥と貝? 漁師より先に?

そう、その二者がこの話の入口。意味を一行だけ覚えるより、誰が何をして、最後に誰が得をするのかを並べると、言葉の中の動きが見えてきます。例文はすべて説明用の仮の例として作り、実在の人の出来事とは分けて紹介します。

目次

「得した人」より先に、争っていた二者を探そう

たとえば、架空の学校の催しで考えてみます。販売場所のよい区画を二つのグループが取り合い、話し合いがまとまらない。その間に、別のグループがその区画を使えることになった、としましょう。

この場合は、争う二組と、そのすきを利用して利益を得た一組がいます。「二組が場所を取り合っている間に、別の組が漁夫の利を得た」という例文が作れますね。

でも、第三の組が最初から決められた抽選で区画を引き当てただけなら?
二組が争っていたことと、区画を得たことのつながりが弱くなります。たまたま同じ時間に起きたことを並べただけでは、この言葉の説明にはしにくいです。

あ、そうか。三人出てくれば完成、ではないのね。
そこを確かめるなら、文を二つに割ってみてください。「何が原因で争った?」と「その争いのすきを、誰がどう利用した?」。後半に答えられなければ、もう少し場面を書き足すか、別の言い方を選びます。

二者というのは、人が二人という意味に限りません。二つのチームや会社、国などのまとまりでも考えられます。ただし、実際の会社の出来事を題材にするなら、争いがあったことも、別の会社が利益を得た事情も、事実で確かめたいところ。売上が増えたという数字だけで、他社の争いに乗じたと決めるのは飛びすぎです。

学習用の例では、その難しさを背負わなくて大丈夫。名前をA組、B組、C組にして、争っている対象を一つだけ置きましょう。場所、順番、役割など、目に浮かぶものが書きやすいです。誰が何を欲しがっていたかが曖昧なままだと、「得した」の中身もぼんやりしてしまいます。

そして最後に、得した人へ丸を付ける。
最初から争っていたA組へ丸が付くなら、競り勝った話になっていないか見直してみて。利益を得る第三者の位置を、争いの当事者とは分けるのが、この語を理解するための最初の手掛かりです。

意味と故事を確かめたいときは、漢字ペディアの「漁夫の利」へ戻れます。覚える前に、仮の例と語の説明がどこでつながるかを見てみよう。

親子で物語から確かめる一冊を探すなら、『新レインボー小学ことわざ・四字熟語辞典 改訂第2版(オールカラー)』が候補です。出版社の案内では、漁夫の利をマンガで解説する故事成語の一つとして挙げています。文章の説明で止まったときに、物語の人物関係を読む入口を選べるのが、この用途に合うところです。

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鳥と貝の話は、最後に来た漁師だけを見ないで

由来は、中国の古典『戦国策』に載る故事です。漢字ペディアでは、シギとドブガイが争うところへ漁師が来て、両方を捕らえた話を、蘇代が趙の王への説得に用いたと説明しています。趙と燕が争えば、強い秦に両方とも取られかねない、という警告でした。

漁師にとっては利益になる。でも、争っていた側からすると……二者とも捕まってしまう。

「やった、うまく得をする方法だ!」という読み方だけで閉じると、説得の話としての向きが見えなくなります。争いを続ける二者へ向けた戒めとして眺めると、別の景色になりますね。

子どもと説明するときは、国の名前を最初から全部覚えさせなくても、鳥、貝、漁師の位置を紙に描くところから始められます。鳥と貝を近くに、漁師を少し離れたところに置く。そして、争いのあとに何が起こるかを矢印でつなぐ。これは本の記事やマンガの再現ではなく、関係を整理するための自作のメモです。

この図で聞いてみたいのは、「鳥と貝のどちらが勝った?」より、「最後に利益を得たのは誰?」。話の結末を二者の勝ち負けだけで探すと、漁師の役割を落としやすいからです。

さらに一歩進むなら、同じ紙の下へ「争っている側から見たら」を足してみよう。鳥側、貝側、漁師側で、結末の受け止め方が変わります。ひとつの言葉が、利益を得た側の説明にも、争う側への注意にもつながると分かれば、例文の幅が広がります。

ただ、ここで人物の気持ちを史実として増やさないようにしたいです。悔しくて泣いた、家族に自慢した、昔から待ち伏せしていた。そういう場面は、確認した説明にはありません。物語を面白く説明したいときほど、実際に読んだ筋と、自分で考えた想像を分けておきましょう。

「もし鳥が離れようとしたら、どんな結末を想像する?」と尋ねるのは、仮の展開を考える遊びとしてできます。でも、その答えを由来の続きとして覚える必要はありません。元の説明へ戻り、何が書かれていて、何は自分たちの想像だったのかを確かめる。その行き来も言葉を読む練習になります。

国の話へ戻すときは、趙と燕を争う二者、秦を利益を得かねない第三者として、さっきの図と照らしてみます。実際にその場で両国が秦に取られた結果報告として読むのでなく、そうなりかねないという説得のたとえです。時系列を細かく調べる前でも、ここは分けておきたいね。

文字だけでは関係が追いにくいなら、出版社が漁夫の利のマンガ解説を案内している辞典を検討できます。今回確認したのは書籍紹介であり、そのマンガのコマ割りや台詞そのものを読んで紹介しているわけではありません。ここでは、掲載されているという確認済みの内容から候補にしています。

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例文の「ラッキー」を、誰が何をしたかに替えてみよう

意味が分かっても、宿題の短文にすると急に難しい。そんなときは、最初から格好いい一文を作ろうとしないで、三つのメモから始めてみてください。

争う二者は誰か。
何を争っているか。
その間に第三者が何を得るか。

この三つが決まれば、文章をつなぐ材料ができます。たとえば架空の競売のような場面で、「二人が品物を取り合って口論している間に、別の人が得をした」とだけ書いたら。……何を得たんだろう? 品物? 買う権利? 何も決まっていないままでは、読む人が続きを作らなくてはいけません。

最初の練習では、仕組みを複雑にしない方が書きやすいです。前の節の、催しの区画をめぐる三組の仮の例なら、欲しいものは「区画を使うこと」と決まっています。「よい場所を使えることになった」と利益を具体的に置けますね。

では、別の仮の場面も作ってみよう。
二つのグループが代表役をめぐって争い、決める時間を使い切ってしまう。そこで争いに加わっていなかった第三のグループに役が回り、その機会を利用して目当ての出番を得た、という設定です。

この例では、もともと出番を欲しがっていた第三の組が、他の二組の対立から利益を得るところが大事。「役を押し付けられて困った」なら、第三者にとって利益とはいえなくなります。人が変わっただけで満足せず、得になったことまで書きたいところ。

例文にするなら、「二組が代表役を争っているすきをついて、別の組が漁夫の利を得た」。これは架空の設定を短くした学習用の文です。誰かが実際に口にした言葉ではありません。

書き終えたら、あえてことわざを一度外して読んでみます。「争っているすきをついて、別の組が利益を得た」という筋が残れば、意味とのつながりを説明しやすいです。ことわざを外した瞬間に何が起きたか分からなくなるなら、前半の状況を足してみて。

長さの指定がある宿題なら、先生や教材の条件を先に見てください。短文なら、国名や故事の筋まで全部詰める必要はありません。問われているのが例文なのか、由来の説明なのかで、書く内容を変えます。

親子で見直すときも、「違う、もう一回」だけだと、どこを直すのか分からないですよね。争いがないのか、第三者がいないのか、利益の内容が見えないのか。止まった場所を一つだけ指して、そこへ言葉を足す方が進めやすいです。

逆に、条件がそろったら何度も書き直さなくて大丈夫。その場面でなぜこの語を使えるのか、一言説明できれば、次は別の語へ進めます。正しい形に磨き続けるより、つながりが見えたところを一区切りにしよう。

自分で作った文を、故事の説明と見比べてみよう。鳥と貝に当たるのはどの二組? 漁師に当たるのは誰? そこを指で示せると、覚えた一行が、自分の例文につながります。マンガで漁夫の利を扱う辞典も、その見比べるための候補にできます。上の催しや代表役は、この記事で作った例です。

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一石二鳥と迷ったら「一つの行動で二つの得?」と聞いて

鳥が出てくるし、得する話だし。「一石二鳥」と混ざりそう、という人は、得の前にある出来事へ目を向けてみて。

漢字ペディアの「一石二鳥」では、一つの行為によって二つの利益を得る語として説明しています。こちらは、一つの行動と二つの得を探すと、意味がつかみやすいです。

たとえば、近所へ歩いて買い物に行き、必要な食材を買えて、歩く機会も作れた、という仮の場面。「買い物と運動を兼ねて一石二鳥だ」と考えられます。歩けば誰でも健康になるという効果の話ではなく、一つの外出で二つの目的を果たした例として見てください。

この場面には、取り合っている二者も、そのすきをつく第三者も出てきません。だから、同じ「得した」の気持ちから漁夫の利に置き替えると、何が起きたのかがずれてしまいます。

比べるメモは、二列で十分です。一石二鳥の列には「一つの行動」と「得たもの二つ」。漁夫の利の列には「争う二者」と「そのすきで得る第三者」。鳥の数や漢字の見た目より、出来事の組み立てを先に置く。このやり方なら、例文を考えるときにも戻れます。

もし学校の催しの仮の例を二列へ入れるとしたら。場所をめぐる二組の対立から別の組が利益を得る方は、漁夫の利の列です。利益の種類を二つ数えたから一石二鳥、と急いで決めず、文の中で何を説明したいのかを見てみよう。

同じ出来事にいくつもの側面がある場合、どの言葉を使うかは着目したところで変わることもあります。ただ、最初の練習でそれを全部扱うと、話が絡まります。一石二鳥は外出、漁夫の利は三組の争い、というように、典型の違う例を別々に置くところからでいいです。

そして、普段の会話ではもう一つ気を付けたいことがあります。「得したね」と親しく声を掛けたいだけなら、「漁夫の利だったね」は少し強く聞こえる可能性があります。他人の争いに乗じた、苦労せず手に入れた、という意味まで相手の行動に重ねるからです。

たとえば、友達が自分で準備して応募し、欲しかった機会を得たと話してくれたら。その努力を知らないままこの語でまとめるより、「決まってよかったね」「準備が実ったね」と、聞いた内容に合う言葉で返す方が気持ちを伝えやすいです。反応を想像した仮の場面であり、必ず相手が不快になると決めるものではありません。

説明のために覚えたことわざを、会話で毎回使わなくてもいいんだよ。語の意味を分かったうえで、その場で伝えたい気持ちへ合わせて選べます。「この言葉、知ってる!」から、もう一歩。「今、友達に伝えたいことは何かな?」まで考えられたら、覚えた言葉の使い道も広がります。

親子で調べる候補の書名は、『新レインボー小学ことわざ・四字熟語辞典 改訂第2版(オールカラー)』、ISBNは9784053053923です。出版社は、似た意味や反対の意味の言葉も掲載すると案内しています。ただし、今回の公開案内から一石二鳥の個別の紙面は確認していないため、その説明の根拠には上記の漢字ペディアを使いました。購入する場合は、検索結果の書名と版、ISBNを合わせて確認してください。

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さっきの「ただラッキーなこと?」へ戻ると、答えは、争いと第三者の利益のつながりまで見よう、です。

家で練習するなら、書いた例文の「争っている」を「協力している」へ替えてみる方法もあります。第三の組が得をする結末をそのまま残すと、漁夫の利の意味に合うかな? 争いが消えると、語の説明とつながらなくなります。今度は、争う二組を残して、得する相手をその二組の片方へ替える。こちらも、第三者が利益を得るという部分が消えます。

こうやって一か所ずつ動かすと、丸暗記した説明のどの部分が必要なのかを試せるんです。全部を一度に変える必要はありません。最初の文へ戻して、一つ替える。それで違いが話せたら、今日は十分。ノートをもう一ページ埋めなくても、自分で確かめたことが残ります。

次にこの言葉を見つけたら、三者の名前を頭の中で並べてみて。争っていたのは誰と誰。その間に利益を得たのは誰。そこが見えた瞬間、「得した」だけだった文に、出来事の動きが戻ってきます。

鳥、貝、そして漁師。三者を追いかけるところからなら、初めて聞く子とも一緒に始められます。まずは紙に丸を三つ。今日の一語は、その小さな図からほどいてみよう!

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この記事を書いた人

喫茶ことばのアバター 喫茶ことば 編集担当

ことわざの意味や由来、使い方を、会話に取り入れやすい形で紹介しています。

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