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二次会や集まりに人を誘うとき、「枯れ木も山のにぎわいって言うじゃないですか」と声をかけたことはありませんか。実はこの言い方、相手を怒らせてしまうかもしれない使い方です。
この記事では、文化庁の「平成26年度『国語に関する世論調査』の結果の概要」と、文化庁が国語に関する世論調査をもとに作成した動画「ことば食堂へようこそ! 枯れ木も山のにぎわい」の映像台本をもとに、「枯れ木も山のにぎわい」の本来の意味と、誤解されやすい理由を5つのポイントで確認します。後半の、例文と言い換えの工夫は、この記事の提案です。
※数字は調査時点のものです。その後の調査結果や辞書の記述は、文化庁のページや各辞書で確かめてください。
枯れ木も山のにぎわいの意味
本来の意味
文化庁の平成26年度調査の結果の概要では、辞書等で主に本来の意味とされるものとして、「つまらないものでも無いよりはまし」が示されています。
もう一つの受け取り方
同じ調査では、選択肢として「人が集まればにぎやかになる」も挙げられています。この意味は、本来とは違う意味とされる方です。
言葉のつくり
「ことば食堂へようこそ!」の台本では、自分を「枯れ木」、つまりつまらない者にたとえて、「つまらない者でも、いないよりはまし」という気持ちを表す言葉だと説明されています。枯れた木でも、山に何もないよりは景色ににぎわいを添える、というたとえとして読むとイメージしやすいでしょう。
枯れ木も山のにぎわいの5つのポイント
ここでは、文化庁の調査と動画台本から、「枯れ木も山のにぎわい」を使う前に押さえておきたい点を5つにまとめます。
1. 本来は「つまらないものでも無いよりはまし」
平成26年度の調査結果の概要では、本来の意味とされるものとして「つまらないものでも無いよりはまし」が示されています。「人が集まるとにぎやかで楽しい」という前向きな意味ではありません。
2. 本来とは違う意味を選んだ人の方が多い
平成26年度の調査では、「つまらないものでも無いよりはまし」を選んだ人は37.6%、「人が集まればにぎやかになる」を選んだ人は47.2%でした。結果の概要でも、本来とは違う意味とされる方が多く選択されるという結果だとまとめられています。
3. 10年で本来ではない方が12ポイント増えた
平成16年度の調査では、「つまらないものでも無いよりはまし」が38.6%、「人が集まればにぎやかになる」が35.5%でした。結果の概要では、平成16年度と比べて、本来の意味ではない方を選択した割合が12ポイント増加していると説明されています。
4. もとは招かれた側が使う謙遜の言葉
「ことば食堂へようこそ!」の台本では、この言葉はもともと、招待を受けた側が「つまらない者でも、いないよりはまし」という謙遜の気持ちを持って使っていた言葉だと説明されています。
5. 誘う側が使うと相手を「枯れ木」にしてしまう
同じ台本では、謙遜の気持ちが理解されなくなり、招待する側からも使われるようになって、相手を「枯れ木」、つまり「つまらないもの」になぞらえていることに気付かないまま使われるようになっていったのではないかと説明されています。動画のスキットでも、二次会に誘われた女性が「枯れ木で悪かったわね!」と怒って去る場面が描かれています。
5つのポイントの早見表
| ポイント | 文化庁の資料での説明 |
|---|---|
| 本来の意味 | つまらないものでも無いよりはまし |
| 平成26年度 | 本来の意味37.6%、違う意味47.2% |
| 平成16年度との比較 | 本来ではない方が12ポイント増加 |
| もとの使い方 | 招待を受けた側の謙遜 |
| 注意点 | 誘う側が使うと相手を枯れ木にたとえてしまう |
表は、文化庁の平成26年度「国語に関する世論調査」の結果の概要と、「ことば食堂へようこそ!」の映像台本にもとづきます。
調査結果をくわしく見る
平成16年度と平成26年度の比較
結果の概要に示されている、平成16年度と平成26年度の数字を並べると次のとおりです。
| 選択肢 | 平成26年度 | 平成16年度 |
|---|---|---|
| つまらないものでも無いよりはまし(本来の意味) | 37.6% | 38.6% |
| 人が集まればにぎやかになる | 47.2% | 35.5% |
| 両方 | 4.2% | 4.5% |
| 全く別の意味 | 3.4% | 12.1% |
| 分からない | 7.6% | 9.2% |
年齢別の傾向
結果の概要では、年齢別に見ると、本来の意味とされる「つまらないものでも無いよりはまし」の割合は、全ての年代において3割台から約4割となっていると説明されています。また、平成16年度と比べると、「人が集まればにぎやかになる」の割合は、全ての年代において8〜22ポイント増加しているとされています。
若い人だけの誤解ではない
全ての年代で本来の意味が3割台から約4割にとどまっているということは、年齢に関係なく、意味が揺れている言葉だといえます。「年上の人なら本来の意味で受け取るはず」と考えず、誰に対しても使い方に気をつけたい言葉です。
動画のスキットで見る失敗例
披露宴のあとの会話
「ことば食堂へようこそ!」のスキットは、披露宴会場の出口が舞台です。二次会の幹事の男性が、帰ろうとする女性を二次会に誘います。女性は「飲み過ぎちゃったから」と断りますが、男性は「『枯れ木も山のにぎわい』って言うじゃないですか」と重ねて誘います。
「枯れ木で悪かったわね!」
すると女性は態度が急変し、「枯れ木で悪かったわね!」と言ってその場を去ります。男性は「『枯れ木も山のにぎわい』って言うよね?」と首をかしげます。男性は「人が集まればにぎやかになる」という意味で使ったつもりでも、女性には「つまらない人でもいないよりはまし」と言われたように聞こえた、という場面です。
誘った人が誰も来ない
動画の最後には、男性が一人で「枯れ木も山のにぎわいなのに、僕の誘った人が誰も来ないよー」とつぶやく場面があります。言葉の意味の取り違えが、人間関係に影響してしまうことを、ユーモラスに伝える構成です。
この場面から分かること
| 立場 | 言葉の向き | 受け取られ方 |
|---|---|---|
| 招かれた側が自分に使う | 自分=枯れ木 | 謙遜として伝わる |
| 誘う側が相手に使う | 相手=枯れ木 | 相手を低く見る言い方になる |
台本の説明をもとにすると、同じ言葉でも、誰を「枯れ木」にたとえるかで受け取られ方が大きく変わります。
同じ調査で聞かれた言葉
平成26年度の調査では、「枯れ木も山のにぎわい」のほかに、次の言葉の意味も尋ねられています。
おもむろに
本来の意味とされる「ゆっくりと」が44.5%、「不意に」が40.8%でした。年齢別では、「ゆっくりと」の割合は60代で約6割、70歳以上で7割台前半と説明されています。
小春日和
本来の意味とされる「初冬の頃の、穏やかで暖かな天気」が51.7%、「春先の頃の、穏やかで暖かな天気」が41.7%でした。「春先の頃」の割合は、16〜19歳で66.1%、20代で54.5%と、他の年代より高いと説明されています。
天に唾する
本来の意味とされる「人に害を与えようとして、結局自分に返ってくるような行為をすること」が63.5%、「自分より上位に立つような存在を、冒し汚すような行為をすること」が22.0%でした。
| 言葉 | 本来の意味とされるもの | 割合 |
|---|---|---|
| おもむろに | ゆっくりと | 44.5% |
| 枯れ木も山のにぎわい | つまらないものでも無いよりはまし | 37.6% |
| 小春日和 | 初冬の頃の、穏やかで暖かな天気 | 51.7% |
| 天に唾する | 人に害を与えようとして、結局自分に返ってくる | 63.5% |
使い方と言い換えの工夫
ここからは、文化庁の調査と動画台本をもとにした、この記事の提案です。
自分のことに使う
本来の使い方に沿うなら、自分を「枯れ木」にたとえる謙遜として使います。
例文:「私などは枯れ木も山のにぎわいですが、ぜひ参加させてください。」
例文:「人数合わせにでもなれば、枯れ木も山のにぎわいと思って顔を出します。」
人を誘うときは使わない
人を誘うときに使うと、相手を「つまらないもの」にたとえることになります。誘うときは、ことわざを使わずに、気持ちをそのまま伝える方が安心です。
言い換え例:「人数が多いほど楽しいので、ぜひ来てください。」
言い換え例:「〇〇さんが来てくれたら、みんなも喜びます。」
相手に使われたときは
相手が「人が集まればにぎやかになる」という意味で使っている可能性もあります。調査では、その意味を選んだ人の方が多かったので、悪気なく使われていることもあると考えて、受け止め方を決めるとよいでしょう。
メールや手紙で使うとき
文字だけのやりとりでは、表情や声の調子で謙遜の気持ちを補えません。自分を「枯れ木」にたとえるつもりでも、誤解されないか不安なときは、「にぎやかしにでもなれば幸いです」のように、ことわざを使わない言い方にすると伝わりやすくなります。
意味が揺れている言葉は避けるのも手
本来の意味を知っている人と、そうでない人のどちらにも誤解なく伝えたいときは、ことわざを使わずに言い換える方が確実です。特に、目上の人やお客様に向けた言葉では、意味が揺れている言葉を避けるのも一つの方法です。
枯れ木も山のにぎわいのよくある質問
「人が集まればにぎやかになる」は間違い?
文化庁の調査結果の概要では、辞書等で主に本来の意味とされるものは「つまらないものでも無いよりはまし」とされ、「人が集まればにぎやかになる」は本来とは違う意味とされる方として扱われています。
自分を謙遜して使うのはいい?
「ことば食堂へようこそ!」の台本では、もともと招待を受けた側が謙遜の気持ちで使っていた言葉だと説明されています。
似た表現はある?
似た意味の表現や言い換えは、辞書によって挙げ方が異なります。使う前に、手元の辞書で確かめるとよいでしょう。
どの調査で聞かれた?
文化庁の「国語に関する世論調査」で、平成16年度と平成26年度に尋ねられています。
「枯れ木も山の賑わい」と漢字で書いてもいい?
この記事では文化庁の資料の表記に合わせて「にぎわい」と書いています。漢字で書くかどうかは、各辞書や媒体の表記の方針で確かめてください。
動画はどこで見られる?
「ことば食堂へようこそ!」は、文化庁の委託事業で作成された動画です。台本は文化庁のサイトで公開されています。
枯れ木も山のにぎわいは自分に使う言葉
「枯れ木も山のにぎわい」の本来の意味は、「つまらないものでも無いよりはまし」です。文化庁の平成26年度調査では、本来とは違う「人が集まればにぎやかになる」を選んだ人の方が多く、平成16年度より12ポイント増えていました。もとは招かれた側の謙遜の言葉なので、人を誘うときには使わず、自分のことに使うか、気持ちをそのまま伝える言い方に変えましょう。