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「流れに棹さすって、流れを止めることじゃないの?」「気が置けない友達って、気を使う相手のこと?」。ふだん何気なく使っている言葉でも、辞書で本来の意味とされてきたものとは違う意味で受け取っている人が多い言葉があります。
この記事では、文化庁が令和8年10月2日に公表した令和7年度「国語に関する世論調査」の結果だけをもとに、意味を間違えやすい言葉5つを整理しました。調査で示された数字と、辞書等で本来の意味とされてきた意味を確認しながら、例文で使い方を考えてみましょう。
※例文は、調査で示された意味をもとにこの記事で作ったものです。
国語に関する世論調査とは
どんな調査?
文化庁の発表資料によると、文化庁は国語施策の参考とするため、平成7年度から毎年度「国語に関する世論調査」を実施しています。
令和7年度の調査の概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査時期 | 令和8(2026)年1月13日〜3月3日 |
| 調査対象 | 全国16歳以上の日本国籍を有する者 6,000人 |
| 有効回答数(率) | 3,777人(63.0%) |
| 調査方法 | 郵送法 |
令和2(2020)年度から郵送法で調査していて、令和元(2019)年度以前は面接聴取法だったため、それ以前の結果は参考値となり、比較には注意が必要だとされています。
慣用句等の意味を尋ねた質問
調査の問20では、「ひもとく」「佳境に入る」「流れに棹さす」「気が置けない」「噴飯もの」の5つの言葉について、それぞれ(ア)と(イ)のどちらの意味だと思うかを尋ねています。
文化庁の結果の概要では、このうち「ひもとく」「流れに棹さす」「噴飯もの」は、辞書等で本来の意味とされてきたものとは異なる方が多く選択された、とまとめられています。また、「佳境に入る」「気が置けない」は、本来の意味とされてきたものとそうでないものの割合が拮抗している、とされています。
意味を間違えやすい言葉5つ
ここからは、5つの言葉を順番に見ていきます。数字は令和7年度の調査結果です。
1. ひもとく
調査では「古代史をひもとく」という例で尋ねています。
| 選択肢 | 割合 |
|---|---|
| (ア)関係する書物を読む(本来の意味とされてきたもの) | 13.1% |
| (イ)真相を明らかにする | 69.9% |
| (ア)と(イ)の両方 | 15.0% |
辞書等で本来の意味とされてきたのは「関係する書物を読む」ですが、選んだ人は1割台にとどまりました。年齢別では、全ての年齢層で(イ)が(ア)を20ポイント以上上回り、50代以下では60ポイント以上の差があったとされています。
例文:夏休みに、ふるさとの歴史をひもといてみた。(関係する本を読んでみた、という意味)
2. 佳境に入る
調査では、次の2つの意味で尋ねています。
| 選択肢 | 割合 |
|---|---|
| (ア)仕事などが最盛期や大詰めを迎える | 37.8% |
| (イ)物語などが特に興味深い場面になる(本来の意味とされてきたもの) | 34.3% |
| (ア)と(イ)の両方 | 26.2% |
本来の意味とされてきたのは「物語などが特に興味深い場面になる」です。年齢別では、40代以下で(ア)が(イ)を上回り、(イ)を選んだ人の割合は16〜19歳を除いておおむね年齢が上がるほど高く、70歳以上で40.2%と最も高かったとされています。
例文:連続ドラマもいよいよ佳境に入り、毎週の放送が待ち遠しい。
3. 流れに棹さす
調査では「その発言は流れに棹さすものだ」という例で尋ねています。
| 選択肢 | 割合 |
|---|---|
| (ア)傾向に逆らって、ある事柄の勢いを失わせるような行為をする | 68.9% |
| (イ)傾向に乗って、ある事柄の勢いを増すような行為をする(本来の意味とされてきたもの) | 22.7% |
| (ア)と(イ)の両方 | 5.1% |
本来の意味とされてきたのは「傾向に乗って、勢いを増す」ほうです。年齢別では、全ての年齢層で(ア)が(イ)を30ポイント以上上回ったとされています。
例文:初日の好評が流れに棹さす形となり、追加公演が次々に決まった。(勢いに乗って、さらに勢いが増した、という意味)
4. 気が置けない
調査では「その人は気が置けない人ですね」という例で尋ねています。
| 選択肢 | 割合 |
|---|---|
| (ア)相手に対して気配りや遠慮をしなくてよい(本来の意味とされてきたもの) | 47.4% |
| (イ)相手に対して気配りや遠慮をしなくてはならない | 44.3% |
| (ア)と(イ)の両方 | 4.3% |
年齢別では、40代以上で(ア)が(イ)を上回り、30代以下では(イ)が(ア)を上回ったとされています。世代によって受け取り方が分かれやすい言葉といえそうです。
例文:学生時代からの気が置けない友人と、久しぶりにゆっくり話した。
5. 噴飯もの
調査では「彼の発言は噴飯ものだ」という例で尋ねています。
| 選択肢 | 割合 |
|---|---|
| (ア)腹立たしくて仕方ないこと | 55.1% |
| (イ)おかしくてたまらないこと(本来の意味とされてきたもの) | 34.1% |
| (ア)と(イ)の両方 | 5.6% |
本来の意味とされてきたのは「おかしくてたまらないこと」です。年齢別では、全ての年齢層で(ア)が(イ)を10ポイント以上上回ったとされています。
例文:あまりに的外れな言い訳で、まさに噴飯ものだった。(おかしくてたまらない、という意味)
5つの言葉のまとめ
| 言葉 | 本来の意味とされてきたもの | 選んだ人の割合 |
|---|---|---|
| 1. ひもとく | 関係する書物を読む | 13.1% |
| 2. 佳境に入る | 物語などが特に興味深い場面になる | 34.3% |
| 3. 流れに棹さす | 傾向に乗って、勢いを増すような行為をする | 22.7% |
| 4. 気が置けない | 相手に対して気配りや遠慮をしなくてよい | 47.4% |
| 5. 噴飯もの | おかしくてたまらないこと | 34.1% |
過去の調査と比べると
流れに棹さすの推移
調査では、過去の結果も参考値として示されています。「流れに棹さす」で本来の意味とされてきた(イ)を選んだ人の割合は、次のとおりです。
| 調査年度 | (ア)逆らって勢いを失わせる | (イ)乗って勢いを増す |
|---|---|---|
| 平成14(2002)年度 | 63.6% | 12.4% |
| 平成18(2006)年度 | 62.2% | 17.5% |
| 平成24(2012)年度 | 59.4% | 23.4% |
| 令和7(2025)年度 | 68.9% | 22.7% |
気が置けないの推移
| 調査年度 | (ア)遠慮をしなくてよい | (イ)遠慮をしなくてはならない |
|---|---|---|
| 平成14(2002)年度 | 44.6% | 40.1% |
| 平成18(2006)年度 | 42.4% | 48.2% |
| 平成24(2012)年度 | 42.7% | 47.6% |
| 令和7(2025)年度 | 47.4% | 44.3% |
噴飯ものの推移
「噴飯もの」は平成24(2012)年度にも尋ねられていて、(ア)「腹立たしくて仕方ないこと」が49.0%、(イ)「おかしくてたまらないこと」が19.7%でした。
ただし、令和元(2019)年度以前は面接聴取法、令和2(2020)年度からは郵送法と調査方法が変わっているため、過去の数字は参考値で、比較には注意が必要とされています。たとえば、過去の調査には「分からない」という選択肢があり、令和7年度の表にはその欄がありません。
同じ調査でわかる「気になる言葉」
特定の場面で使われる5つの言い方
令和7年度の調査の問18・問19では、特定の年齢層や特定の業界で広く用いられていると見られる5つの言い方について、自分が使うことがあるか、ほかの人が使うのが気になるかを尋ねています。
| 言い方 | 調査で示された意味 | 使うことがある | 気になる |
|---|---|---|---|
| ツーカーの仲 | 一言だけで話が通じるような気心が知れている仲 | 47.8% | 26.8% |
| なるはやで | 可能な限り急いで | 33.4% | 44.7% |
| えいやで決める | 思い切って決める | 23.9% | 48.2% |
| 交通整理する | 複雑で滞っていることを分かりやすく整理する | 22.7% | 44.2% |
| 正直ベースで言う | 建前ではなく本音を率直に言う | 15.8% | 46.7% |
世代で分かれる受け止め方
年齢別では、「ツーカーの」を使うことがある人の割合は、おおむね年齢が上がるに従って高くなり、60代以上で6割台後半でした。一方で、「ツーカーの」を気になると答えた人の割合は、おおむね年齢が下がるに従って高くなり、16〜19歳で7割台となっています。
反対に、「なるはやで」を使うことがある人の割合は、おおむね年齢が下がるに従って高くなり、20代以下で7割台。気になると答えた人は、おおむね年齢が上がるに従って高くなり、70歳以上で7割台となっています。
ある世代には自然な言い方でも、別の世代には気になる言い方になることがある、という結果です。意味の取り違えと同じように、相手に合わせて言葉を選ぶヒントになりますね。
間違えやすい言葉のよくある質問
「本来の意味」以外で使うのは間違い?
文化庁の結果の概要では、「辞書等で主に本来の意味とされてきたもの」という表現が使われています。調査結果を見ると、言葉によっては世代で受け取り方が分かれていることもわかります。大切なのは、相手に誤解されないことです。改まった文章や、世代の違う人と話すときは、本来の意味とされてきたもので使うか、別の言い方に置き換えると安心です。
誤解されない言い換えは?
たとえば「気が置けない人」は、「気楽に話せる人」「遠慮のいらない人」と言い換えると、どの世代にも伝わりやすくなります。「ひもとく」も、「本で調べる」「資料を読む」と書けば、意味の取り違えを防げます。
調査の詳しい結果はどこで見られる?
文化庁のウェブサイトの「国語に関する世論調査」のページで、結果の概要や報告書、集計表が公開されています。
意味を間違えやすい言葉5つを確認しよう
最後に、5つの言葉の本来の意味とされてきたものをもう一度まとめます。
- ひもとく:関係する書物を読む
- 佳境に入る:物語などが特に興味深い場面になる
- 流れに棹さす:傾向に乗って、勢いを増すような行為をする
- 気が置けない:相手に対して気配りや遠慮をしなくてよい
- 噴飯もの:おかしくてたまらないこと
知っているつもりの言葉も、調査の数字を見ると「自分はどっちだったかな?」と気になりますね。家族や友達とクイズにして確かめてみるのも楽しいですよ。