二兎を追う者は一兎をも得ずの意味は?挑戦を諦める前に、例文でほどこう

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週末の予定表に、やりたいことを二つ書いた。
どっちも楽しみ。どっちも大事。

そこで「二兎を追う者は一兎をも得ず」が頭に浮かぶと、片方を諦めなきゃいけないのかな、と迷うかもしれないね。

待って待って。
このことわざを、やりたいことの数を取り締まる言葉にしなくていいよ。

意味の中心は、二つの目標を同時に追い求めて、結局どちらも取り逃がすことのたとえです。二つ好きなものがある、それだけで失敗という話ではありません。

読み方は「にとをおうものは、いっとをもえず」。「も」がない「一兎を得ず」という形も辞典に載っています。そして、漢文みたいな響きだけれど、西洋由来のことわざとして説明されているんです。

今回は、意味、表記、由来を辞典で確かめたうえで、作文や会話に使う例を考えます。本文の新しい例文や場面は、説明のために作ったもの。実際に誰かが失敗した話や、本人の体験談ではないよ。

目次

二つ好き、だけでは足りない。「追い方」と「結末」まである言葉だよ

二兎は二匹のうさぎ、一兎は一匹のうさぎ。
二匹を追ったのに、一匹も捕まえられなかった。まずは、このたとえの形をつかもう。

小学館のデジタル大辞泉と『ことわざを知る辞典』は、違う二つのことや目標を同時に追い、結局どちらも得られない、という意味を示しています。

だから、例文を作るなら「二つある」の先がほしいんだよね。

説明用に、文化祭の準備を考えてみよう。展示パネルと紹介動画の両方を一人で完成させようとして、何度も作業を切り替えた。締切の日に、どちらも仕上がらなかった。

この場面なら、「展示も動画も一人で仕上げようとして、結局どちらも未完成になった。二兎を追う者は一兎をも得ずという結果だった」という例文が作れます。

何を二つ追ったのか。どんな進め方をしたのか。結果はどうなったのか。この三つが見えると、ことわざが飾りで終わらず、出来事のどこを言っているか伝わるね。

一方で、「展示と動画が好きなので、両方に興味があります」だけでは、取り逃がした結末はありません。好きなものが二つあることを、このことわざで失敗扱いするのは、意味を広げすぎてしまいます。

さらに、複数の役割を持っている人を見て、すぐ当てはめることもできないよ。手順や人員、時間の使い方、結果を知らないまま、二つやっているから両方だめ、と決める言葉ではありません。

実際の動物の習性を説明する表現として使っているわけでもないので、うさぎの走る速さや捕獲方法を証明する必要はないんだね。たとえが、いま説明したい出来事とどう対応するかを見るのが、ここでの読み方です。

予定を立てるときには、失敗した事実がなくても「二兎を追う形にならないよう、先に展示を仕上げよう」と戒めに使う例が考えられます。ただし、これは失敗が必ず起こるという予言ではなく、進め方への注意としての使い方です。

意味を調べる本なら、北村孝一さん編の『小学館 ことわざを知る辞典』が候補になります。今回確認したオンライン項目にも、同辞典の解説が掲載されています。言葉の意味だけでなく、用例や背景まで読みたいときの入口にできるね。

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意味はコトバンク掲載・小学館の辞典項目を参照しています。文化祭の場面と文は、この説明のための創作例です。

「も」がないと間違い?読む形と、引用する形を分けよう

「一兎をも得ず」で覚えていたのに、別の文章では「一兎を得ず」。
あれ、どっちだったっけ? となるところだよね。

精選版日本国語大辞典の掲載項目では、「を」と「をも」の両方の形が示されています。『ことわざを知る辞典』は「一兎をも得ず」を見出しにしていますが、そこに挙げられた用例には「一兎を得ず」の形もあります。

つまり、「も」が見えないから、すぐ誤記だと決める必要はありません。辞典の見出しだけでなく、表記の案内や用例まで見ると、実際に使われる形を確かめられるんです。

ここで、自分の作文と、誰かの文を引用するときを分けておこう。

自分で一文を書くなら、使う辞典で確かめた形を一つ選べばいい。同じ短い文章の中で、覚え違いかな、と迷いながら表記を行ったり来たりさせるより、最初に見出しをメモしておくと書きやすいよ。

学校の課題で指定された表記があるなら、その指示も確認してください。「辞典に別の形もある」という知識と、その課題で求められた答え方は、別に扱いたいところです。

引用では、元の文に「一兎を得ず」とあるのに、自分が覚えた形へ黙って直さないようにしたいね。表記をそろえる作業と、原文を示す作業は同じではありません。言い換えて説明するなら、引用ではなく自分の説明として書こう。

読むときには、漢字にも一拍。「二兎」はにと、「一兎」はいっとです。全文を一息で覚えようとして詰まったら、二兎を追う者は/一兎をも得ず、と意味のつながりで区切って読んでみる。ここでは暗唱の速さより、どこが前半で、どこが結末かが分かるほうが大事だよ。

似た話を自分の言葉へ直す練習なら、「二つを一度に得ようとして、結局どちらも得られなかった」と説明した後に、ことわざを添える方法もあります。先に普通の文章で意味が通るかを見ると、覚えた言葉を無理にはめ込んでいないか気づきやすい。

紙の辞典を使うなら、見出しだけを写して閉じず、用例で形がどう変わっているかまで見たいね。本を全ページ読んでからでなくても、一つの見出しと用例を往復するだけで、今回の「も」の疑問には向き合えます。

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表記と読みは精選版日本国語大辞典の掲載項目と『ことわざを知る辞典』の掲載項目で確認しました。

漢文みたいだけれど、西洋由来。最初の文献まで決めつけないでね

二兎、一兎、得ず。
この並びだけ見ると、中国の古い物語に出てきそうに感じない?

でも、デジタル大辞泉は西洋のことわざと説明しています。見た目が漢文風だから、中国の故事が出典だと決めるのは早いんだね。

『ことわざを知る辞典』の解説は、ヨーロッパで広く使われることわざの翻訳で、幕末に複数の言語から並行して入ってきたものと思われる、としています。特定の一人が、特定の一日に、この日本語を初めて作ったと断定する説明ではありません。

同辞典は、1877年の『西洋諺草』で紹介されたことにも触れています。一方、精選版日本国語大辞典の項目で「初出の実例」として挙がっているのは、1892年の巌谷小波『暑中休暇』です。

日付が二つあると、どちらかが間違い? と思うかもしれないけれど、それぞれ何について書いているかを読むところだよ。

ここでは、各辞典が記す紹介の経緯と用例の情報を、そのまま区別しています。1892年という実例が載っているから、1877年の紹介は存在しない、という読み方にはしません。また、この記事で両方の原本を調べて初出を確定したわけでもありません。

由来を作文に一行入れたいなら、「西洋由来のことわざで、日本語に翻訳されて広まったと説明されている」と、確認できた範囲にとどめる書き方ができます。

ここへ架空の狩人の名前や国王、うさぎを追った実話を足す必要はないよ。たとえの場面を想像することと、歴史上の出来事として紹介することは別。分かりやすくしたいからこそ、由来は作らず、辞典に戻りたいね。

学習ノートでは、「意味」「由来」「用例の作品名」の欄を分ける方法がおすすめです。作品で使われたことを、その作品がことわざの発祥だという意味にしないための工夫です。

そして、用例の登場人物の言い方を、そのまま現代の友達への助言にしなくても大丈夫。作品の会話は、その人物や場面の言葉。ことわざが使われた記録として読むことと、自分も同じ調子で話すことは分けよう。

一語を調べていたはずなのに、日本語へ入ってきた道まで見えてくる。そういう寄り道も、意味の一覧を眺めるだけでは気づきにくい辞典の面白さだね。

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由来と1877年への言及は『ことわざを知る辞典』、1892年の実例は精選版日本国語大辞典に基づきます。この記事で原典の初出調査を行ったものではありません。

一石二鳥とは何が違う?例文は「一つの行動」から比べてみよう

二つ得ようとすると、だめ。
でも一石二鳥なら、二つ得られていい話。

ことわざ同士で言っていることが逆じゃない? と感じるところだよね。ここは、二という数だけでなく、行動と結果の関係を見るとほどきやすいよ。

一石二鳥は、一つの行為で同時に二つの成果や利益を得ることのたとえ。『ことわざを知る辞典』は、二兎の項目の対義として一石二鳥などを挙げています。

ただし、反対語の組として覚えたら、どんな文章でも単純に交換できるわけではありません。説明用に、旅行のメモを作る場面で比べてみよう。

例文A。「旅行中、写真撮影と取材メモを同時にこなそうとして慌ただしく動き、写真も記録も十分に残せなかった。二兎を追う者は一兎をも得ず、という結果になった。」

こちらは二つを追って、どちらも十分に得られなかったという文です。失敗の説明が、ことわざとつながっています。

例文B。「旅先で説明板を撮影しておいたので、見た景色の記録にも、帰宅後に名称を調べる手掛かりにもなった。一石二鳥だった。」

こちらは一つの撮影が、二つの役に立ったという文。どちらも写真の話だけれど、取り上げている関係が違うんだね。実際の施設の撮影許可を説明する例ではありません。

では、「写真を撮り、あとで別にメモを書き、どちらも完成した」なら?
それだけでは、二つを取り逃がす二兎の例ではないし、一つの行為から二つの成果が生まれる一石二鳥の例とも限りません。「二つの作業を終えた」と、普通に書けば伝わります。

ことわざを必ず付けなきゃ、と思わなくていいんだよ。出来事が先にあって、それをうまく言える言葉があるときに使う。これが、例文を作るときにおすすめしたい順番です。

近い意味の「虻蜂取らず」も、二つをねらってどちらも得られないたとえとして辞典に載っています。覚えるときは動物の種類だけを入れ替えるより、欲張った対象と結末がつながるかを見てみよう。

この比較は、複数のことへ取り組む方法について、成功・失敗を科学的に証明する話ではありません。ことわざがどんな関係を表すか、文章で確かめる練習です。予定の立て方は、必要な時間や条件も見て、その都度考えていこう。

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意味の比較には二兎の項目、一石二鳥の項目、虻蜂取らずの項目を参照しました。旅行の例文はすべて独自の説明例です。

友達へ言うなら、その一言の先へ。辞典は結論を押し付ける道具にしない

何かを頑張っている友達へ、二兎を追う者は一兎をも得ずだよ、と一言。
それで心配が伝わるかどうかは、別に考えたいね。

言われた相手には、やりたいことが多いと責められたように聞こえるかもしれない。まだ結果が出ていないのに、失敗する前提で見られている、と感じる場合もありそうです。受け取り方を一つには決められないから、何を心配しているかを普通の言葉で添えるほうをすすめたい。

例えば、二つの提出物の締切が同じで、作業の時間が重なっている場面なら、「両方を同じ夜に仕上げるのは大変そう。先にどちらを終わらせたい?」という声のかけ方が考えられます。これは会話例で、実際の相手の発言ではありません。

焦点を、目標を減らすことだけに置かず、順番をどうするかへ移せるんだね。もちろん、順番さえ付ければ両方必ず成功する、という保証ではないよ。必要な時間や助けも、本人の状況を聞いて考えたいところです。

自分の計画に使う場合なら、二つの目標の下へ「いつまでに」「何ができたら一区切りか」を書いてみる方法があります。やりたい気持ちを消すためでなく、いま同時に抱えている作業が何かを見えるようにする提案です。

冒頭の週末の予定も同じ。「二つあるからだめ」で閉じず、同じ時間帯に両方をしようとしているのか、順にできるのかを考える。ことわざを思い出したところから、予定の具体的な中身へ戻れたらいいね。

今回の参考書『小学館 ことわざを知る辞典』は、北村孝一さん編、2018年11月7日刊、ISBN9784095041834。出版社は約1500項目、文学作品の用例、由来や使い方の解説、分類索引などを紹介しています。

本の全文や全用例を読了した紹介ではありません。ここで確認したのは、出版社の書誌・内容紹介と、公開されている辞典項目です。また、紙の本と電子書籍、中古品が検索結果に混ざるので、読む形や状態は購入先で確かめてください。価格・在庫・配送条件も変動します。

一冊選ぶなら、意味を短く引きたいのか、使われ方や背景まで読みたいのかで考えよう。今回のように表記や由来まで立ち止まってみたい人には、その説明を読む辞典が候補になります。

最後に、自分で一文作るなら、二つの目標、追い方、結末を紙へ置いてみてね。そこが埋まらなければ、ことわざを入れない文章でもいい。

やりたいことが二つある。
その気持ちまで、諦めなくて大丈夫。
いま両方をどう追っているか。そこへ目を戻す言葉として、使うかどうかを選んでみよう。

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書誌と収録の特色は小学館の辞書公式サイト「ことばのまど」で確認できます。場面に応じた声のかけ方と学習メモは、この記事での提案です。

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この記事を書いた人

喫茶ことばのアバター 喫茶ことば 編集担当

ことわざの意味や由来、使い方を、会話に取り入れやすい形で紹介しています。

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